2023年生プーアル・麻黒村Teabag・プレミアム
2023年生プーアル・麻黒村Teabag・プレミアム


販売価格: 630円~5,850円(税込)
オプションにより価格が変わる場合もあります。
商品詳細
【ご案内】2025年より茶葉紹介方法が文章解説に進化しました。
・茶葉の特徴をまとめた説明文
・大高勇気バイヤー視点の解説
・産地や環境についての紹介文 3つの視点から、わかりやすく解説します。
【生プーアル茶 麻黒】は、茶樹と周囲の植物が共存する豊かな自然環境の中で育まれた、やさしい蜜香が特徴の逸品です。 麻黒特有の「蜂蜜を思わせる花香」と、やわらかく上品な甘みが調和し、自然そのものの恵みを感じられる仕上がりとなっています。 お湯を注ぐと、甘く華やかな香りが静かに立ちのぼり、心をほぐすような穏やかさに包まれます。 口に含むと、蜜のようにまろやかな甘みと優しい味わいがバランスよく広がり、茶葉本来の力強さと繊細さが感じられます。 一口ごとに広がる自然の香りと余韻が、産地の風土をそのまま映し出すような、上品な一杯です。
【大高勇気バイヤー視点の解説】 豊かな自然と共生する茶園で育まれた、やさしい蜜香と品格ある味わいが魅力の逸品です。お湯を注ぐと、蜂蜜を思わせるふくよかな花香がふわりと立ち上がり、飲む人の心をやさしく包み込みます。口に含めば、とろりとした甘みとまろやかな旨味が穏やかに広がり、麻黒特有の“まったりとした上品さ”が口中に長く残ります。易武茶区の中でも、麻黒は甘みの質と持続性で高く評価される産地であり、このロットはその特徴が際立っていました。特に、蜂蜜のような甘みととろみのある口当たりが、しっかりと現れていたことから、数ある候補の中からこの茶葉を選びました。自然の恵みを丁寧に感じ取れる、静かで豊かな一杯です。
生プーアル・麻黒村生産年:2023年
ティーバッグ生産日:2025年3月20日
賞味期限:50年
古樹の香り漂う生茶の聖地・麻黒(マァヘィ)
麻黒は、中国雲南省南西部、シーサンパンナ州の勐腊県に属する易武鎮の一部に位置し、名高いプーアル茶の産地として広く知られています。易武は「プーアル茶のふるさと」とも呼ばれ、特に麻黒の茶葉はその中でも香り高く繊細な味わいで高い評価を受けています。
標高約1,600メートルに位置する麻黒は、山の斜面に広がる古茶樹の群生地を抱えており、霧が立ちこめる湿潤な気候と肥沃な赤土壌に恵まれています。この地では、無農薬・無化学肥料の自然栽培が守られ、古樹と呼ばれる樹齢百年以上の茶樹が多く、その葉は春先に丁寧に手摘みされ、伝統的な製法で生プーアル茶として仕上げられます。
麻黒の生プーアル茶は、華やかでふくよかな香りと、優しい口当たりが特徴です。口に含むと、花の蜜を思わせる甘みと、繊細でなめらかな味わいが広がり、やがて奥行きある余韻へと続いていきます。軽やかさと深さを併せ持ち、何煎も重ねるごとにその魅力が広がる、まさに易武を代表する逸品です。
麻黒が育んだ、香りの芸術とも呼べる生プーアル茶。
その繊細で芳醇な味わいを、ぜひご堪能ください。
生プーアル原産地・麻黒の生態環境をご覧ください!
私たちは、原産地で育まれた茶葉を〈正山茶〉と定義し、その土地に息づく文化と歴史を尊重してお届けします。現地での実地検証と卸先向け産地研修資料に基づき、ロットの来歴・製法・品質の根拠を明示し、専門家として責任をもって、どなたにもわかりやすく解説することをお約束します。
[易武(慢撒)・麻黒]茶区ガイド――[王道“香揚・水柔”、均整の原点]
1概要
麻黒(マヘイ)は、易武(慢撒)茶区の中心帯に広がる小微産区(マイクロテロワール)の総称で、原生林と古茶園がモザイク状に点在する“森寄りの畑”が典型です。標高は概ね1,200〜1,600m帯。杯中では、易武を象徴する白花〜柑橘花の花蜜香、雑味の少ない“細い水”、速く長い回甘が三位一体で立ち上がります。冷水河の劇的な「軽い苦→長い甘」ほど起伏を強調せず、薄荷塘の冷香ほど明度を押し上げず、黒水梁子の峯の冷明ほど硬質でもない――その代わり、香り・水・甘の三要素が最も均整良く結ばれるのが麻黒の魅力。若茶はガラス質の透明感、数年の熟成で蜜と軽い香木の層が整然と積み上がり、王道の“やさしさ”に品位が増していきます。
2地理環境
緩やかな尾根と谷が重なり、朝霧が立ちやすく抜けも良い“整った湿潤”が持ち味。高木の樹冠が直射をやわらげ、古茶樹は半日陰の拡散光下でゆっくり育ちます。花崗岩〜砂岩由来の赤壌土に厚い腐植が乗り、排水と保水のバランスが良好。根は岩の裂隙と腐植層を縫って張り、清潔なミネラル感を杯に映します。林地茶園の形態が基本で、広葉樹・蘭科・シダ類が混生する生物多様性が微気候を安定化。施肥・整枝を抑えた低介入管理が一般的で、落葉還元や渓畔林の保全といった“森と共存する作り”が、渋みの角を立たせにくく、線の細い水と長い余韻を後押しします。極端な高標高ではないぶん、年ごとの振れ幅が小さく、均整の取れた味が再現されやすい地勢です。
3到達の難しさ
易武の最深部ほど過酷ではないものの、麻黒の古茶園は林道の奥に小区画で散在し、最終区間は小径歩行が基本。雨期には路面の崩れや泥濘で車両が入れず、搬出は今なお人力比率が高めです。畑は単位面積が小さく、一度に扱える生葉量は限定的。採取は選芽精度を最優先とし、単樹・単片区・単日のロット運用を志向すると歩留まりはさらに低下します。霧や小雨で採摘可能日が削られる年は供給が断続的になり、結果として“麻黒名義の高純度ロット”は常に少量。入手障壁が極端に高いわけではないが、需要の強さと厳密な選別が供給を引き締め、安定品質と希少性を同時に支えています。届きやすさと届きにくさの均衡――それも麻黒の“現実的な希少”です。
4歴史の輪郭
茶馬古道の時代から“柔らかな甘さ”を象る易武の名の下に語られてきた地域で、麻黒はその中心帯として古くから認知されてきました。2000年代後半〜2010年代、単一産地の個性が重視される潮流が強まると、麻黒は“易武の王道を確認する基準地”として再評価が加速。試飲会や買付現場では、香りの純度・水の細さ・回甘の速度という三指標の“ゼロ点”確認にたびたび用いられます。並行して、園地・樹齢・緯度経度・加工所・採摘日の明示や現地タグ、映像記録などトレーサビリティが整備され、名義混同の抑止と品質の再現性が向上。伝統的晒青製法に現代的な衛生・選別基準を重ねるアプローチが主流化し、古典的骨格と清潔感を両立する“麻黒の標準形”が確立しました。
5産地が育む味わい
香りは白花〜柑橘花の澄んだ花蜜香を主旋律に、蜜蝋や白桃、軽い香木が控えめに層を作る清澄系。入口のごく浅い苦底は瞬時に解け、清潔な甘露が喉奥にすっと張り付き長く続きます。塩梅はクリーンで渋みの角が立ちにくく、雑味を感じにくいのが特徴。テクスチャは“糸のように細い水”が骨格を成し、中盤からごく上品な“糯感”が加わって余韻は静謐に伸びます。刮風寨内で比べれば、冷水河のドラマ性(軽い苦→長い甘)、薄荷塘の冷香の明度、黒水梁子の峯の澄明、茶坪の直線と比して、麻黒は三要素のバランスで記憶に残るタイプ。若茶は明澄、3〜5年で蜜の厚み、10年級で軽い香木・薬香の陰影が重なり、王道の“やさしさと品”が芯を強くします。
6“易武の王道・基準点”という位置づけ
キーフレーズは「“易武の王道・基準点”」。香揚・水柔・長い回甘という易武の三要素を、過度な演出や偏りなく最も分かりやすく提示する座標が麻黒です。買付・評価の現場では、まず麻黒で当年の作柄を“ゼロ点”確認(香りの純度/水の細さ/回甘の速度・滞在)し、冷水河の時間軸の劇性、薄荷塘の明度、黒水梁子の峯の冷明、茶坪の直線、落水洞の均整を相対評価する手順が定着。単独でも完成度が高く、ブレンド設計では全体の輪郭と清潔感を整える“軸線”になりやすい。初学者には易武の正攻法を体験させ、愛好家には微差の鑑賞を促す――教育と実務の両面で外せない参照地、それが麻黒の現在地です。
7麻黒のまとめ
麻黒の価値は、易武の美点を最短距離で体験させる“わかりやすさ”と、その奥に潜む“静かな厚み”の両立にあります。白花〜柑橘花の清楚なトップが澄んで立ち上がり、雑味のない“細い水”が入口から喉奥まで一本の線を引く。浅い苦底は一瞬で解け、清潔な甘露が静かに長く滞在し、杯の中には騒がしさのない張りが残る――これが麻黒の標準形です。冷水河のような劇的な時間演出や、薄荷塘のようなハイキーな明度、黒水梁子の峯の冷明といった“尖り”をあえて持たない代わりに、香り・水・甘の三要素が最も品よく均され、初学者にも直感で伝わる。だからこそ、産地比較・作柄評価・ブレンド設計の“物差し”として機能し、易武を理解する基礎体験の舞台になるのです。 地勢がその性格を支えます。極端な標高や強い陰影に頼らず、霧の立ちやすさと抜けの良さ、拡散光、赤壌土+厚い腐植、森の庇護――この“整った湿潤”の組み合わせが、渋みの角を立たせずに香り密度と回甘の速度を両立させます。年ごとの振れ幅が小さいため、王道の輪郭を崩さずに作柄差を学べる点も教育的価値が高い。希少性は“現実的”です。最深部ほどの到達難度はないが、小区画モザイク(同じ山でも数十〜数百メートル単位で土壌・方位・地形・樹齢が切り替わり、味がパッチワーク状に変わる状態。)・人力搬出・選芽優先の運用が供給を引き締め、麻黒名義の高純度ロットは常に少量。トレーサビリティ(園地・樹齢・採摘日・加工所・現地タグ等)の確からしさが、信頼と価格を支えます。 他産地との対照も鮮明です。勐海系(老班章等)の直線的な力感や厚い苦底に対し、麻黒は角を立てずに深さを出す“静的な強さ”。勐庫・冰島系の結晶的な甘さに対しては、香りの帯域の整い方と喉韻の品位で住み分けます。若茶ではガラス質の透明感、3〜5年で蜜の層が厚みを増し、10年級では軽い香木・薬香が静かに重なって、王道の輪郭はより端正に。総じて麻黒は、易武の“正攻法”を最も美しく示す基準点――杯のなかに“場所の記憶”を、過不足のない均整で結ぶ産地です。
・茶葉の特徴をまとめた説明文
・大高勇気バイヤー視点の解説
・産地や環境についての紹介文 3つの視点から、わかりやすく解説します。
【生プーアル茶 麻黒】は、茶樹と周囲の植物が共存する豊かな自然環境の中で育まれた、やさしい蜜香が特徴の逸品です。 麻黒特有の「蜂蜜を思わせる花香」と、やわらかく上品な甘みが調和し、自然そのものの恵みを感じられる仕上がりとなっています。 お湯を注ぐと、甘く華やかな香りが静かに立ちのぼり、心をほぐすような穏やかさに包まれます。 口に含むと、蜜のようにまろやかな甘みと優しい味わいがバランスよく広がり、茶葉本来の力強さと繊細さが感じられます。 一口ごとに広がる自然の香りと余韻が、産地の風土をそのまま映し出すような、上品な一杯です。
【大高勇気バイヤー視点の解説】 豊かな自然と共生する茶園で育まれた、やさしい蜜香と品格ある味わいが魅力の逸品です。お湯を注ぐと、蜂蜜を思わせるふくよかな花香がふわりと立ち上がり、飲む人の心をやさしく包み込みます。口に含めば、とろりとした甘みとまろやかな旨味が穏やかに広がり、麻黒特有の“まったりとした上品さ”が口中に長く残ります。易武茶区の中でも、麻黒は甘みの質と持続性で高く評価される産地であり、このロットはその特徴が際立っていました。特に、蜂蜜のような甘みととろみのある口当たりが、しっかりと現れていたことから、数ある候補の中からこの茶葉を選びました。自然の恵みを丁寧に感じ取れる、静かで豊かな一杯です。
生プーアル・麻黒村生産年:2023年
ティーバッグ生産日:2025年3月20日
賞味期限:50年
古樹の香り漂う生茶の聖地・麻黒(マァヘィ)
麻黒は、中国雲南省南西部、シーサンパンナ州の勐腊県に属する易武鎮の一部に位置し、名高いプーアル茶の産地として広く知られています。易武は「プーアル茶のふるさと」とも呼ばれ、特に麻黒の茶葉はその中でも香り高く繊細な味わいで高い評価を受けています。
標高約1,600メートルに位置する麻黒は、山の斜面に広がる古茶樹の群生地を抱えており、霧が立ちこめる湿潤な気候と肥沃な赤土壌に恵まれています。この地では、無農薬・無化学肥料の自然栽培が守られ、古樹と呼ばれる樹齢百年以上の茶樹が多く、その葉は春先に丁寧に手摘みされ、伝統的な製法で生プーアル茶として仕上げられます。
麻黒の生プーアル茶は、華やかでふくよかな香りと、優しい口当たりが特徴です。口に含むと、花の蜜を思わせる甘みと、繊細でなめらかな味わいが広がり、やがて奥行きある余韻へと続いていきます。軽やかさと深さを併せ持ち、何煎も重ねるごとにその魅力が広がる、まさに易武を代表する逸品です。
麻黒が育んだ、香りの芸術とも呼べる生プーアル茶。
その繊細で芳醇な味わいを、ぜひご堪能ください。
生プーアル原産地・麻黒の生態環境をご覧ください!
私たちは、原産地で育まれた茶葉を〈正山茶〉と定義し、その土地に息づく文化と歴史を尊重してお届けします。現地での実地検証と卸先向け産地研修資料に基づき、ロットの来歴・製法・品質の根拠を明示し、専門家として責任をもって、どなたにもわかりやすく解説することをお約束します。
[易武(慢撒)・麻黒]茶区ガイド――[王道“香揚・水柔”、均整の原点]
1概要
麻黒(マヘイ)は、易武(慢撒)茶区の中心帯に広がる小微産区(マイクロテロワール)の総称で、原生林と古茶園がモザイク状に点在する“森寄りの畑”が典型です。標高は概ね1,200〜1,600m帯。杯中では、易武を象徴する白花〜柑橘花の花蜜香、雑味の少ない“細い水”、速く長い回甘が三位一体で立ち上がります。冷水河の劇的な「軽い苦→長い甘」ほど起伏を強調せず、薄荷塘の冷香ほど明度を押し上げず、黒水梁子の峯の冷明ほど硬質でもない――その代わり、香り・水・甘の三要素が最も均整良く結ばれるのが麻黒の魅力。若茶はガラス質の透明感、数年の熟成で蜜と軽い香木の層が整然と積み上がり、王道の“やさしさ”に品位が増していきます。
2地理環境
緩やかな尾根と谷が重なり、朝霧が立ちやすく抜けも良い“整った湿潤”が持ち味。高木の樹冠が直射をやわらげ、古茶樹は半日陰の拡散光下でゆっくり育ちます。花崗岩〜砂岩由来の赤壌土に厚い腐植が乗り、排水と保水のバランスが良好。根は岩の裂隙と腐植層を縫って張り、清潔なミネラル感を杯に映します。林地茶園の形態が基本で、広葉樹・蘭科・シダ類が混生する生物多様性が微気候を安定化。施肥・整枝を抑えた低介入管理が一般的で、落葉還元や渓畔林の保全といった“森と共存する作り”が、渋みの角を立たせにくく、線の細い水と長い余韻を後押しします。極端な高標高ではないぶん、年ごとの振れ幅が小さく、均整の取れた味が再現されやすい地勢です。
3到達の難しさ
易武の最深部ほど過酷ではないものの、麻黒の古茶園は林道の奥に小区画で散在し、最終区間は小径歩行が基本。雨期には路面の崩れや泥濘で車両が入れず、搬出は今なお人力比率が高めです。畑は単位面積が小さく、一度に扱える生葉量は限定的。採取は選芽精度を最優先とし、単樹・単片区・単日のロット運用を志向すると歩留まりはさらに低下します。霧や小雨で採摘可能日が削られる年は供給が断続的になり、結果として“麻黒名義の高純度ロット”は常に少量。入手障壁が極端に高いわけではないが、需要の強さと厳密な選別が供給を引き締め、安定品質と希少性を同時に支えています。届きやすさと届きにくさの均衡――それも麻黒の“現実的な希少”です。
4歴史の輪郭
茶馬古道の時代から“柔らかな甘さ”を象る易武の名の下に語られてきた地域で、麻黒はその中心帯として古くから認知されてきました。2000年代後半〜2010年代、単一産地の個性が重視される潮流が強まると、麻黒は“易武の王道を確認する基準地”として再評価が加速。試飲会や買付現場では、香りの純度・水の細さ・回甘の速度という三指標の“ゼロ点”確認にたびたび用いられます。並行して、園地・樹齢・緯度経度・加工所・採摘日の明示や現地タグ、映像記録などトレーサビリティが整備され、名義混同の抑止と品質の再現性が向上。伝統的晒青製法に現代的な衛生・選別基準を重ねるアプローチが主流化し、古典的骨格と清潔感を両立する“麻黒の標準形”が確立しました。
5産地が育む味わい
香りは白花〜柑橘花の澄んだ花蜜香を主旋律に、蜜蝋や白桃、軽い香木が控えめに層を作る清澄系。入口のごく浅い苦底は瞬時に解け、清潔な甘露が喉奥にすっと張り付き長く続きます。塩梅はクリーンで渋みの角が立ちにくく、雑味を感じにくいのが特徴。テクスチャは“糸のように細い水”が骨格を成し、中盤からごく上品な“糯感”が加わって余韻は静謐に伸びます。刮風寨内で比べれば、冷水河のドラマ性(軽い苦→長い甘)、薄荷塘の冷香の明度、黒水梁子の峯の澄明、茶坪の直線と比して、麻黒は三要素のバランスで記憶に残るタイプ。若茶は明澄、3〜5年で蜜の厚み、10年級で軽い香木・薬香の陰影が重なり、王道の“やさしさと品”が芯を強くします。
6“易武の王道・基準点”という位置づけ
キーフレーズは「“易武の王道・基準点”」。香揚・水柔・長い回甘という易武の三要素を、過度な演出や偏りなく最も分かりやすく提示する座標が麻黒です。買付・評価の現場では、まず麻黒で当年の作柄を“ゼロ点”確認(香りの純度/水の細さ/回甘の速度・滞在)し、冷水河の時間軸の劇性、薄荷塘の明度、黒水梁子の峯の冷明、茶坪の直線、落水洞の均整を相対評価する手順が定着。単独でも完成度が高く、ブレンド設計では全体の輪郭と清潔感を整える“軸線”になりやすい。初学者には易武の正攻法を体験させ、愛好家には微差の鑑賞を促す――教育と実務の両面で外せない参照地、それが麻黒の現在地です。
7麻黒のまとめ
麻黒の価値は、易武の美点を最短距離で体験させる“わかりやすさ”と、その奥に潜む“静かな厚み”の両立にあります。白花〜柑橘花の清楚なトップが澄んで立ち上がり、雑味のない“細い水”が入口から喉奥まで一本の線を引く。浅い苦底は一瞬で解け、清潔な甘露が静かに長く滞在し、杯の中には騒がしさのない張りが残る――これが麻黒の標準形です。冷水河のような劇的な時間演出や、薄荷塘のようなハイキーな明度、黒水梁子の峯の冷明といった“尖り”をあえて持たない代わりに、香り・水・甘の三要素が最も品よく均され、初学者にも直感で伝わる。だからこそ、産地比較・作柄評価・ブレンド設計の“物差し”として機能し、易武を理解する基礎体験の舞台になるのです。 地勢がその性格を支えます。極端な標高や強い陰影に頼らず、霧の立ちやすさと抜けの良さ、拡散光、赤壌土+厚い腐植、森の庇護――この“整った湿潤”の組み合わせが、渋みの角を立たせずに香り密度と回甘の速度を両立させます。年ごとの振れ幅が小さいため、王道の輪郭を崩さずに作柄差を学べる点も教育的価値が高い。希少性は“現実的”です。最深部ほどの到達難度はないが、小区画モザイク(同じ山でも数十〜数百メートル単位で土壌・方位・地形・樹齢が切り替わり、味がパッチワーク状に変わる状態。)・人力搬出・選芽優先の運用が供給を引き締め、麻黒名義の高純度ロットは常に少量。トレーサビリティ(園地・樹齢・採摘日・加工所・現地タグ等)の確からしさが、信頼と価格を支えます。 他産地との対照も鮮明です。勐海系(老班章等)の直線的な力感や厚い苦底に対し、麻黒は角を立てずに深さを出す“静的な強さ”。勐庫・冰島系の結晶的な甘さに対しては、香りの帯域の整い方と喉韻の品位で住み分けます。若茶ではガラス質の透明感、3〜5年で蜜の層が厚みを増し、10年級では軽い香木・薬香が静かに重なって、王道の輪郭はより端正に。総じて麻黒は、易武の“正攻法”を最も美しく示す基準点――杯のなかに“場所の記憶”を、過不足のない均整で結ぶ産地です。