2025年生プーアル・薄荷塘大樹Teabag・プレミアム
2025年生プーアル・薄荷塘大樹Teabag・プレミアム


販売価格: 840円~7,800円(税込)
オプションにより価格が変わる場合もあります。
商品詳細
【ご案内】2025年より茶葉紹介方法が文章解説に進化しました。
・茶葉の特徴をまとめた説明文
・大高勇気バイヤー視点の解説
・産地や環境についての紹介文 3つの視点から、わかりやすく解説します。
【生プーアル茶 薄荷塘 TeaBag(2025年春)】は、雲南省・易武山の薄荷塘で早春に摘み取った古樹芽葉を、そのままティーバッグに仕立てた希少ロットです。 生産量が極めて少ない薄荷塘は、古い茶樹が多く「茶気の強さ」で名高い産地。2025年ロットも力強い茶気と厚みのある味わいが際立ち、生プーアル愛好家に人気の一杯に仕上がっています。 お湯を注ぐと、深い森を思わせる力強い香りがふわりと立ちのぼり、薄荷塘ならではの濃密なアロマが広がります。 口に含むと、まろやかで厚みのある風味が舌を包み込み、古樹茶特有の強い茶気がゆっくりと身体に染みわたります。 余韻にはとろけるような甘みと清冽な茶気が長く残り、香り・味・後味すべてに厚みを備えた力強い一杯です。
【大高勇気バイヤー視点の解説】 雲南省・易武の中でもとりわけ茶気の強さで知られる薄荷塘の芽葉を用い、希少性の高い原料をそのままティーバッグに仕立てた特別なロットです。お湯を注ぐと、森の奥に分け入ったような濃密で奥行きのある香りが立ち上がり、厚みのあるアロマからすでに「気の強さ」が伝わってきます。ひと口含めば、舌をゆっくりと覆うような重厚な味わいが広がり、時間差で茶気が体の芯へと染み渡っていく感覚が続きます。 バイヤーとして特筆すべきは、ティーバッグでありながら「香り・味・茶気」の三要素すべてにおいて明確な厚みが感じられる点。特に後半の旨味の伸びは、ティーバッグとしては異例のレベルです。例年原料の確保が難しいこのエリアで、ここまで完成度の高い仕上がりになったことを非常にうれしく思っています。今すぐでも十分な満足感がありますが、3〜5年の熟成を経れば、さらなる奥行きが生まれることは間違いありません。
生プーアル・薄荷塘生産年:2025年4月20日
ティーバッグ生産日:2025年4月30日
賞味期限:50年
雲南省・易武の秘境──薄荷塘(ボォヘェタン)
易武茶区の最深部、標高1,800メートル近い山あいに位置する薄荷塘は、限られた人だけがたどり着ける秘境の茶産地。豊かな原生林と澄んだ空気に包まれたこの地は、今や中国プーアル茶界でもっとも注目される古樹茶の名所のひとつです。
その名が示すように、薄荷(ミント)を思わせる爽やかな香気が茶葉から感じられるのが最大の特徴。樹齢数百年の古樹(グーシュー)が自然栽培で育てられ、豊かな森林環境がもたらす複雑な風味と透明感は、他の産地にはない特別な魅力を備えています。
薄荷塘の生プーアル茶は、清らかで澄み切った香り、まろやかで奥行きのある味わい、そして心地よく喉を抜けていく清涼感が特徴です。一煎ごとに変化する香味のグラデーションは、茶を知る人ほど魅了される味わいです。
現地の少数民族によって受け継がれた伝統技法で、一枚一枚丁寧に手摘みされ、手仕上げで製茶された茶葉は、年を経るごとにその真価を発揮し、熟成茶としての価値も非常に高く評価されています。
易武の頂に息づく、薄荷塘。
神秘的な自然と清涼な香気が調和した、極上の一杯をぜひご堪能ください。
生プーアル原産地・薄荷塘の生態環境をご覧ください!
私たちは、原産地で育まれた茶葉を〈正山茶〉と定義し、その土地に息づく文化と歴史を尊重してお届けします。現地での実地検証と卸先向け産地研修資料に基づき、ロットの来歴・製法・品質の根拠を明示し、専門家として責任をもって、どなたにもわかりやすく解説することをお約束します。
[易武(慢撒)・薄荷塘]茶区ガイド――[“冷香”の芯、森に澄む甘露]
1概要
薄荷塘(ボーヘータン)は、雲南・易武(慢撒)茶区の原生林奥に潜む小微産区(マイクロテロワール)。谷と尾根が細かく折り重なる地形の中、古茶樹が島状に点在します。標高は概ね1,400〜1,800m帯。濃い朝霧と拡散光、直射をやわらげる高木の庇護が重なり、易武の王道「香揚・水柔」を、冷ややかな明度=“冷香”で引き締めるのが最大の特徴です。杯中では白花〜柑橘花を主旋律に、清涼感を帯びた香りがすっと立ち上がり、雑味の少ない“細い水”が静かに流れる。若茶はガラス質の透明感、年を経るほど蜜と軽い香木の層が整然と積み上がります。刮風寨の各区画(冷水河・茶坪・黒水梁子・白沙河)と比べても、薄荷塘は香りの“明度”と“清潔さ”で記憶に刻まれる存在です。
2地理環境
薄荷塘の核は、尾根肩から緩斜面へと続く“棚状の坪”と、細い谷が交互に現れる地勢。放射冷却で冷気が穏やかに溜まり、霧は立ちやすいが抜けも良い“整った湿潤”。高木の樹冠が直射を散らし、古茶樹は半日陰の拡散光下でゆっくり生育、葉肉は厚く細胞壁は緻密に。土壌は花崗岩〜砂岩由来の赤壌土に腐植が厚く、排水と保水のバランスが良好で、清潔なミネラル感が骨格を与えます。林地茶園が基本形で、広葉樹・蘭科・シダ類が混生する生物多様性が微気候を安定化。施肥・整枝は最小限、落葉還元と渓畔林保全が慣行として根づき、森と共存する低介入管理が“雑味の少なさ”と“香りの明度”を支えています。結果、年差が出にくく、線の美しい味わいが再現されやすい環境です。
3到達の難しさ
薄荷塘は集落から先の林道が細く、最終区間は小径歩行が基本。雨期は路面の崩れや泥濘で車両が入りづらく、搬出は今なお人力比率が高めです。古茶園は小区画のモザイク状(同じ山でも数十〜数百メートル単位で土壌・方位・地形・樹齢が切り替わり、味がパッチワーク状に変わる状態。)で、一度に扱える生葉は限定的。選芽精度を高め、単樹・単片区・単日のロット運用を志向すると歩留まりはさらに低下します。霧や小雨で採摘可能日が削られる年は供給が途切れがちになり、結果として薄荷塘名義の高純度ロットは常に少量。増産に向かない構造自体が、香りの純度と水の細さを守る“装置”として働いています。名が通るにつれ、園地・樹齢・採摘日・加工所表示や現地タグなどのトレーサビリティが重視され、真贋の透明性を伴うロットほど、市場で安定した評価と希少価値を得ています。
4歴史の輪郭
易武の名声は古いものの、薄荷塘が単独名で広く語られたのは2000年代後半〜2010年代。小区画の素性を重視する潮流のなか、試飲会や現地レポートで“冷香・細い水・速く長い回甘”が明快に可視化され、一躍注目区画に。名の由来には、山中に清涼感のある野草が見られた、あるいは冷涼な香りを覚える――といった説が伝わります。以後、畑単位の表示や収穫・製茶プロセスの記録整備が進み、混入や名義借用を避ける動きが加速。伝統的な晒青製法に、選別・衛生の現代基準を重ねることで、古典的骨格と清潔感を両立させた“冷香の系譜”が確立しました。薄荷塘は、易武の王道に“明度”を与える座標として、教育と実務の両面で参照される存在です。
5産地が育む味わい
香りは白花〜柑橘花を主旋律に、杯縁へ淡く張り付く“冷香”が薄荷様の涼感を添えます。森の湿り気や檀香は控えめで、輪郭は“薄いガラス”のように端正。味わいは入口のごく浅い苦底が素早く解け、清潔な甘露が喉奥へまっすぐ届き長く滞在――塩梅は非常にクリーンで、渋みの角は立ちにくい。テクスチャは“糸のように細い水”が骨格をつくり、中盤からごく上品な粘性が重なって余韻は静謐に伸びます。同じ刮風寨でも、冷水河が「軽い苦→長い甘」の劇性、黒水梁子が高所由来の澄明さと静かな厚み、茶坪が端正な直線、白沙河が蜜のふくらみで印象づけるのに対し、薄荷塘は“冷香の芯”と明度の高さで記憶に残るタイプ。若茶は透明、熟成で蜜蝋や白桃、軽い香木の陰影が整然と層を成します。
6“易武・冷香の代名詞”という位置づけ
キーフレーズは「“易武・冷香の代名詞”」。易武の王道「香揚・水柔」を最も明るいトーンで提示し、香りの解像度と水の細さを際立たせる座標です。買付や作柄評価では、まず薄荷塘で“明度(香りの純度/冷香の出方/水の線の細さ)”を確認し、冷水河の時間軸の変化性、黒水梁子の峯の明度+厚み、茶坪の直線、落水洞や麻黒の均整といった他区画を相対評価する手順が定着。単独でも完成度が高く、ブレンドでは全体の透明度を引き上げ、香りの明度をグッと上げ“透明感”として機能します。初学者には“易武の明るさ”を、愛好家には微差の鑑賞を提供する、教育・実務の両面で外せない基準点です。
7薄荷塘のまとめ
薄荷塘の価値は、“易武らしさの核”を保ちながら、香りの明度を一段引き上げる点にあります。白花〜柑橘花の清楚なトップがすっと立ち上がり、杯縁に薄膜のように張り付く冷香が、味の奥行きを崩さず透明度だけを高める。入口に触れるごく浅い苦底は瞬時に解け、清潔な甘露が喉奥へまっすぐ届き、静かに長く滞在します。派手な演出ではなく、線が細くブレの少ない“清潔な骨格”――これが薄荷塘の第一印象であり、飲み進めるほどに蜜蝋や白桃、極薄い香木の陰影が層を作る“静的な立体感”が顔を出します。 刮風寨内の比較で言えば、冷水河は時間軸を使った「軽い苦→長い甘」のドラマ性で人を惹きつけ、黒水梁子は峯の冷明と静かな厚みで輪郭を研ぎ澄まし、茶坪は端正でクリスタルな直線、白沙河は蜜のふくらみを強く示します。薄荷塘はそれらと交わりつつも、トップの明るさと冷香の芯で独自の位置を占め、ブレンド設計では全体の明度を上げ、香りのフォーカスを中央に集める“ハイキーな要”として機能します。 希少性は誇張ではありません。小区画モザイク、人力搬出、霧や小雨による採摘日の揺らぎ、選芽精度の高さ――いずれも増産に向かない条件ですが、それが味の純度を守り、ロットあたりの情報密度を高めています。市場では、園地名・樹齢・採摘日・加工所・現地タグといったトレーサビリティの“確からしさ”を伴うロットが安定して評価され、薄荷塘名義は“冷香の保証”として機能。教育用途では、易武の“明るさ”と“水の細さ”を確認するゼロ点になり、他区画の個性を相対的に理解する助けとなります。 他産地との対照も鮮やかです。勐海系(老班章等)の厚い力感や直線的な苦底に対し、薄荷塘は角を立てずに明度で勝負する“静的な強さ”。勐庫・冰島系の結晶的な甘さに対しては、トップの清涼感と喉韻の滞在時間、香りのフォーカスで住み分けます。若茶はガラス質の透明感が際立ち、3〜5年で蜜の厚み、10年級で微細な香木・薬香の陰影が整然と重なっていく――時間の経過が“線の美しさ”を崩さず、精度だけを上げるのも薄荷塘の美点。 総じて、薄荷塘は“易武・冷香の代名詞”。初めての易武にも、通の基準確認にも自信をもって薦められる、明るさと清潔さの座標です。杯のなかに“場所の記憶”を、光の粒子のような細やかさで刻みつける――それが薄荷塘の一杯です。
・茶葉の特徴をまとめた説明文
・大高勇気バイヤー視点の解説
・産地や環境についての紹介文 3つの視点から、わかりやすく解説します。
【生プーアル茶 薄荷塘 TeaBag(2025年春)】は、雲南省・易武山の薄荷塘で早春に摘み取った古樹芽葉を、そのままティーバッグに仕立てた希少ロットです。 生産量が極めて少ない薄荷塘は、古い茶樹が多く「茶気の強さ」で名高い産地。2025年ロットも力強い茶気と厚みのある味わいが際立ち、生プーアル愛好家に人気の一杯に仕上がっています。 お湯を注ぐと、深い森を思わせる力強い香りがふわりと立ちのぼり、薄荷塘ならではの濃密なアロマが広がります。 口に含むと、まろやかで厚みのある風味が舌を包み込み、古樹茶特有の強い茶気がゆっくりと身体に染みわたります。 余韻にはとろけるような甘みと清冽な茶気が長く残り、香り・味・後味すべてに厚みを備えた力強い一杯です。
【大高勇気バイヤー視点の解説】 雲南省・易武の中でもとりわけ茶気の強さで知られる薄荷塘の芽葉を用い、希少性の高い原料をそのままティーバッグに仕立てた特別なロットです。お湯を注ぐと、森の奥に分け入ったような濃密で奥行きのある香りが立ち上がり、厚みのあるアロマからすでに「気の強さ」が伝わってきます。ひと口含めば、舌をゆっくりと覆うような重厚な味わいが広がり、時間差で茶気が体の芯へと染み渡っていく感覚が続きます。 バイヤーとして特筆すべきは、ティーバッグでありながら「香り・味・茶気」の三要素すべてにおいて明確な厚みが感じられる点。特に後半の旨味の伸びは、ティーバッグとしては異例のレベルです。例年原料の確保が難しいこのエリアで、ここまで完成度の高い仕上がりになったことを非常にうれしく思っています。今すぐでも十分な満足感がありますが、3〜5年の熟成を経れば、さらなる奥行きが生まれることは間違いありません。
生プーアル・薄荷塘生産年:2025年4月20日
ティーバッグ生産日:2025年4月30日
賞味期限:50年
雲南省・易武の秘境──薄荷塘(ボォヘェタン)
易武茶区の最深部、標高1,800メートル近い山あいに位置する薄荷塘は、限られた人だけがたどり着ける秘境の茶産地。豊かな原生林と澄んだ空気に包まれたこの地は、今や中国プーアル茶界でもっとも注目される古樹茶の名所のひとつです。
その名が示すように、薄荷(ミント)を思わせる爽やかな香気が茶葉から感じられるのが最大の特徴。樹齢数百年の古樹(グーシュー)が自然栽培で育てられ、豊かな森林環境がもたらす複雑な風味と透明感は、他の産地にはない特別な魅力を備えています。
薄荷塘の生プーアル茶は、清らかで澄み切った香り、まろやかで奥行きのある味わい、そして心地よく喉を抜けていく清涼感が特徴です。一煎ごとに変化する香味のグラデーションは、茶を知る人ほど魅了される味わいです。
現地の少数民族によって受け継がれた伝統技法で、一枚一枚丁寧に手摘みされ、手仕上げで製茶された茶葉は、年を経るごとにその真価を発揮し、熟成茶としての価値も非常に高く評価されています。
易武の頂に息づく、薄荷塘。
神秘的な自然と清涼な香気が調和した、極上の一杯をぜひご堪能ください。
生プーアル原産地・薄荷塘の生態環境をご覧ください!
私たちは、原産地で育まれた茶葉を〈正山茶〉と定義し、その土地に息づく文化と歴史を尊重してお届けします。現地での実地検証と卸先向け産地研修資料に基づき、ロットの来歴・製法・品質の根拠を明示し、専門家として責任をもって、どなたにもわかりやすく解説することをお約束します。
[易武(慢撒)・薄荷塘]茶区ガイド――[“冷香”の芯、森に澄む甘露]
1概要
薄荷塘(ボーヘータン)は、雲南・易武(慢撒)茶区の原生林奥に潜む小微産区(マイクロテロワール)。谷と尾根が細かく折り重なる地形の中、古茶樹が島状に点在します。標高は概ね1,400〜1,800m帯。濃い朝霧と拡散光、直射をやわらげる高木の庇護が重なり、易武の王道「香揚・水柔」を、冷ややかな明度=“冷香”で引き締めるのが最大の特徴です。杯中では白花〜柑橘花を主旋律に、清涼感を帯びた香りがすっと立ち上がり、雑味の少ない“細い水”が静かに流れる。若茶はガラス質の透明感、年を経るほど蜜と軽い香木の層が整然と積み上がります。刮風寨の各区画(冷水河・茶坪・黒水梁子・白沙河)と比べても、薄荷塘は香りの“明度”と“清潔さ”で記憶に刻まれる存在です。
2地理環境
薄荷塘の核は、尾根肩から緩斜面へと続く“棚状の坪”と、細い谷が交互に現れる地勢。放射冷却で冷気が穏やかに溜まり、霧は立ちやすいが抜けも良い“整った湿潤”。高木の樹冠が直射を散らし、古茶樹は半日陰の拡散光下でゆっくり生育、葉肉は厚く細胞壁は緻密に。土壌は花崗岩〜砂岩由来の赤壌土に腐植が厚く、排水と保水のバランスが良好で、清潔なミネラル感が骨格を与えます。林地茶園が基本形で、広葉樹・蘭科・シダ類が混生する生物多様性が微気候を安定化。施肥・整枝は最小限、落葉還元と渓畔林保全が慣行として根づき、森と共存する低介入管理が“雑味の少なさ”と“香りの明度”を支えています。結果、年差が出にくく、線の美しい味わいが再現されやすい環境です。
3到達の難しさ
薄荷塘は集落から先の林道が細く、最終区間は小径歩行が基本。雨期は路面の崩れや泥濘で車両が入りづらく、搬出は今なお人力比率が高めです。古茶園は小区画のモザイク状(同じ山でも数十〜数百メートル単位で土壌・方位・地形・樹齢が切り替わり、味がパッチワーク状に変わる状態。)で、一度に扱える生葉は限定的。選芽精度を高め、単樹・単片区・単日のロット運用を志向すると歩留まりはさらに低下します。霧や小雨で採摘可能日が削られる年は供給が途切れがちになり、結果として薄荷塘名義の高純度ロットは常に少量。増産に向かない構造自体が、香りの純度と水の細さを守る“装置”として働いています。名が通るにつれ、園地・樹齢・採摘日・加工所表示や現地タグなどのトレーサビリティが重視され、真贋の透明性を伴うロットほど、市場で安定した評価と希少価値を得ています。
4歴史の輪郭
易武の名声は古いものの、薄荷塘が単独名で広く語られたのは2000年代後半〜2010年代。小区画の素性を重視する潮流のなか、試飲会や現地レポートで“冷香・細い水・速く長い回甘”が明快に可視化され、一躍注目区画に。名の由来には、山中に清涼感のある野草が見られた、あるいは冷涼な香りを覚える――といった説が伝わります。以後、畑単位の表示や収穫・製茶プロセスの記録整備が進み、混入や名義借用を避ける動きが加速。伝統的な晒青製法に、選別・衛生の現代基準を重ねることで、古典的骨格と清潔感を両立させた“冷香の系譜”が確立しました。薄荷塘は、易武の王道に“明度”を与える座標として、教育と実務の両面で参照される存在です。
5産地が育む味わい
香りは白花〜柑橘花を主旋律に、杯縁へ淡く張り付く“冷香”が薄荷様の涼感を添えます。森の湿り気や檀香は控えめで、輪郭は“薄いガラス”のように端正。味わいは入口のごく浅い苦底が素早く解け、清潔な甘露が喉奥へまっすぐ届き長く滞在――塩梅は非常にクリーンで、渋みの角は立ちにくい。テクスチャは“糸のように細い水”が骨格をつくり、中盤からごく上品な粘性が重なって余韻は静謐に伸びます。同じ刮風寨でも、冷水河が「軽い苦→長い甘」の劇性、黒水梁子が高所由来の澄明さと静かな厚み、茶坪が端正な直線、白沙河が蜜のふくらみで印象づけるのに対し、薄荷塘は“冷香の芯”と明度の高さで記憶に残るタイプ。若茶は透明、熟成で蜜蝋や白桃、軽い香木の陰影が整然と層を成します。
6“易武・冷香の代名詞”という位置づけ
キーフレーズは「“易武・冷香の代名詞”」。易武の王道「香揚・水柔」を最も明るいトーンで提示し、香りの解像度と水の細さを際立たせる座標です。買付や作柄評価では、まず薄荷塘で“明度(香りの純度/冷香の出方/水の線の細さ)”を確認し、冷水河の時間軸の変化性、黒水梁子の峯の明度+厚み、茶坪の直線、落水洞や麻黒の均整といった他区画を相対評価する手順が定着。単独でも完成度が高く、ブレンドでは全体の透明度を引き上げ、香りの明度をグッと上げ“透明感”として機能します。初学者には“易武の明るさ”を、愛好家には微差の鑑賞を提供する、教育・実務の両面で外せない基準点です。
7薄荷塘のまとめ
薄荷塘の価値は、“易武らしさの核”を保ちながら、香りの明度を一段引き上げる点にあります。白花〜柑橘花の清楚なトップがすっと立ち上がり、杯縁に薄膜のように張り付く冷香が、味の奥行きを崩さず透明度だけを高める。入口に触れるごく浅い苦底は瞬時に解け、清潔な甘露が喉奥へまっすぐ届き、静かに長く滞在します。派手な演出ではなく、線が細くブレの少ない“清潔な骨格”――これが薄荷塘の第一印象であり、飲み進めるほどに蜜蝋や白桃、極薄い香木の陰影が層を作る“静的な立体感”が顔を出します。 刮風寨内の比較で言えば、冷水河は時間軸を使った「軽い苦→長い甘」のドラマ性で人を惹きつけ、黒水梁子は峯の冷明と静かな厚みで輪郭を研ぎ澄まし、茶坪は端正でクリスタルな直線、白沙河は蜜のふくらみを強く示します。薄荷塘はそれらと交わりつつも、トップの明るさと冷香の芯で独自の位置を占め、ブレンド設計では全体の明度を上げ、香りのフォーカスを中央に集める“ハイキーな要”として機能します。 希少性は誇張ではありません。小区画モザイク、人力搬出、霧や小雨による採摘日の揺らぎ、選芽精度の高さ――いずれも増産に向かない条件ですが、それが味の純度を守り、ロットあたりの情報密度を高めています。市場では、園地名・樹齢・採摘日・加工所・現地タグといったトレーサビリティの“確からしさ”を伴うロットが安定して評価され、薄荷塘名義は“冷香の保証”として機能。教育用途では、易武の“明るさ”と“水の細さ”を確認するゼロ点になり、他区画の個性を相対的に理解する助けとなります。 他産地との対照も鮮やかです。勐海系(老班章等)の厚い力感や直線的な苦底に対し、薄荷塘は角を立てずに明度で勝負する“静的な強さ”。勐庫・冰島系の結晶的な甘さに対しては、トップの清涼感と喉韻の滞在時間、香りのフォーカスで住み分けます。若茶はガラス質の透明感が際立ち、3〜5年で蜜の厚み、10年級で微細な香木・薬香の陰影が整然と重なっていく――時間の経過が“線の美しさ”を崩さず、精度だけを上げるのも薄荷塘の美点。 総じて、薄荷塘は“易武・冷香の代名詞”。初めての易武にも、通の基準確認にも自信をもって薦められる、明るさと清潔さの座標です。杯のなかに“場所の記憶”を、光の粒子のような細やかさで刻みつける――それが薄荷塘の一杯です。