生プーアル茶産地
生プーアル茶の代表的産地ガイド
(産地は無数にありますが、ここでは市場で「名山」「名村」として知られる主要エリアをまとめました。県・市・州はすべて雲南省に属します)
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1. 西双版納傣族自治州
1-1 古六大茶山(勐腊県・景洪市)
山名 位置 風味の傾向 メモ
易武(イーウー) 勐腊県 蜂蜜のような甘香と柔らかな口当たり。熟成後は蘭花や檀香。 “柔”の代表格。易武正山・麻黒など村別表示が盛ん。
倚邦(イーバン) 勐腊県 キンモクセイ様の花香と透明感。若茶でも渋みが少ない。 清代以降“貢茶”を多く輩出。
蛮砖(マンジュアン) 勐腊県 上品な苦味と爽快なメントール感。 樹齢300年以上の古茶園が点在。
革登(グードン) 勐腊県 ボディが厚く、後口に蜂蜜の甘み。 地勢が高く日照に恵まれる。
莽枝(マンジー) 勐腊県 ミネラル感が強く、白檀のような香木系。 近年保護区指定で希少。
攸楽(ヨウラー) 景洪市 チョコレート香とドライフルーツ系の甘み。 チベット交易の集積地だった歴史。
1-2 勐海県の名山
• 布朗山(ブーラン)/老班章・老曼峨
力強い苦渋と長い回甘。市場最高値クラス。
• 南糯山(ナンノア)
パッションフルーツやトロピカルな甘酸。樹齢800年以上の古茶園が現存。
• 勐宋(モンソン)・巴達(バーダー)
ハーブ香、野生花蜜香。ブロンド色の水色が特徴。
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2. 普洱市(旧思茅地区)――“千年古茶林”の宝庫
山・村/エリア 主な県 風味の特徴・キーワード 備考
景迈山(ジンマイ) 瀾滄拉祜族 蜂蜜・花粉・松脂の甘香、絹のような舌触り 1,400 m前後の段々古茶林が世界遺産候補
布朗系「天門山」「滑竹梁子」「冷水河」 寧洱・墨江・景東など哀牢山系 澄んだ甘み+ミネラル感、後味に薬草香 雲海が生む寒暖差と原始林が個性を守る
景谷大白種(ジンガダーバイ) 景谷 乳香・アーモンドを思わせる柔甘、ライトボディ 白茶用品種がプーアル化して人気急騰
普洱市域の散茶(孟連・鎮沅ほか) ― 果実香とほのかなスモーキーさ ラフ族・佤族の伝統製法が残る
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3. 臨滄市――“冰島”を擁する冷涼高地
山・村 県 風味の特徴 備考
冰島(ビンダオ)五寨:地界・南迫・正寨・糯伍・壩卡 雙江 透明感ある甘露香、喉奥で広がる清涼感 生プーアル最高値帯。標高1,900 m前後
忙蚌・大雪山系 永徳 シトラスと白檀の香、シャープな渋み 村単位ブランドが台頭
鳳慶(ホンチン)・景谷大黒山 鳳慶ほか 花蜜+黒糖系の甘香、厚いボディ 鳳慶古樹は紅茶よりプーアル原料で再評価
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4. 大理・保山・徳宏など北西部――秘蔵の“高寒古樹”
• 無量山(大理・南澗)
標高2,000 m超の寒冷環境。白花とハーブ香、凛とした苦味。
• 高黎貢山(保山)
雪をいただく山麓の古樹が生む伸びやかな酸味と長い甘み。
• 瑞麗・盈江(徳宏)
ミャンマー国境に近く、野生茶のDNAを色濃く残すスパイシー系。
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5. “名山”以外の注目マイクロテロワール
エリア 代表的な村/スポット 個性のポイント
黒水梁子(ヘイシュイリャンズ) 景谷 高原黒土と常霧の環境。カルダモや山胡椒の余韻
刮風寨・茶坪(易武山系) 勐腊 シルキーな口当たり+途切れない蜜香
老班章周辺の“新星”曼糯・新班章 勐海 老班章のパワーを受け継ぎつつ、より華やか
南糯山の坡拉・半坡老寨 勐海 トロピカル果実香と潤いある甘露感
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まとめ:山ごと、村ごとに“香りの指紋”
生プーアル茶の世界は、標高・土壌・樹齢・民族文化が織り成す究極のテロワール。
易武の柔、布朗の剛、冰島の清涼、景迈の蜜――。
産地名はワインのクリュと同様に品質と物語を示すパスポートです。
お好みの“山”を見つけることが、生プーアルの旅の第一歩。杯を重ねるごとに、雲南の大地と時の深まりを感じてください。
(産地は無数にありますが、ここでは市場で「名山」「名村」として知られる主要エリアをまとめました。県・市・州はすべて雲南省に属します)
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1. 西双版納傣族自治州
1-1 古六大茶山(勐腊県・景洪市)
山名 位置 風味の傾向 メモ
易武(イーウー) 勐腊県 蜂蜜のような甘香と柔らかな口当たり。熟成後は蘭花や檀香。 “柔”の代表格。易武正山・麻黒など村別表示が盛ん。
倚邦(イーバン) 勐腊県 キンモクセイ様の花香と透明感。若茶でも渋みが少ない。 清代以降“貢茶”を多く輩出。
蛮砖(マンジュアン) 勐腊県 上品な苦味と爽快なメントール感。 樹齢300年以上の古茶園が点在。
革登(グードン) 勐腊県 ボディが厚く、後口に蜂蜜の甘み。 地勢が高く日照に恵まれる。
莽枝(マンジー) 勐腊県 ミネラル感が強く、白檀のような香木系。 近年保護区指定で希少。
攸楽(ヨウラー) 景洪市 チョコレート香とドライフルーツ系の甘み。 チベット交易の集積地だった歴史。
1-2 勐海県の名山
• 布朗山(ブーラン)/老班章・老曼峨
力強い苦渋と長い回甘。市場最高値クラス。
• 南糯山(ナンノア)
パッションフルーツやトロピカルな甘酸。樹齢800年以上の古茶園が現存。
• 勐宋(モンソン)・巴達(バーダー)
ハーブ香、野生花蜜香。ブロンド色の水色が特徴。
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2. 普洱市(旧思茅地区)――“千年古茶林”の宝庫
山・村/エリア 主な県 風味の特徴・キーワード 備考
景迈山(ジンマイ) 瀾滄拉祜族 蜂蜜・花粉・松脂の甘香、絹のような舌触り 1,400 m前後の段々古茶林が世界遺産候補
布朗系「天門山」「滑竹梁子」「冷水河」 寧洱・墨江・景東など哀牢山系 澄んだ甘み+ミネラル感、後味に薬草香 雲海が生む寒暖差と原始林が個性を守る
景谷大白種(ジンガダーバイ) 景谷 乳香・アーモンドを思わせる柔甘、ライトボディ 白茶用品種がプーアル化して人気急騰
普洱市域の散茶(孟連・鎮沅ほか) ― 果実香とほのかなスモーキーさ ラフ族・佤族の伝統製法が残る
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3. 臨滄市――“冰島”を擁する冷涼高地
山・村 県 風味の特徴 備考
冰島(ビンダオ)五寨:地界・南迫・正寨・糯伍・壩卡 雙江 透明感ある甘露香、喉奥で広がる清涼感 生プーアル最高値帯。標高1,900 m前後
忙蚌・大雪山系 永徳 シトラスと白檀の香、シャープな渋み 村単位ブランドが台頭
鳳慶(ホンチン)・景谷大黒山 鳳慶ほか 花蜜+黒糖系の甘香、厚いボディ 鳳慶古樹は紅茶よりプーアル原料で再評価
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4. 大理・保山・徳宏など北西部――秘蔵の“高寒古樹”
• 無量山(大理・南澗)
標高2,000 m超の寒冷環境。白花とハーブ香、凛とした苦味。
• 高黎貢山(保山)
雪をいただく山麓の古樹が生む伸びやかな酸味と長い甘み。
• 瑞麗・盈江(徳宏)
ミャンマー国境に近く、野生茶のDNAを色濃く残すスパイシー系。
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5. “名山”以外の注目マイクロテロワール
エリア 代表的な村/スポット 個性のポイント
黒水梁子(ヘイシュイリャンズ) 景谷 高原黒土と常霧の環境。カルダモや山胡椒の余韻
刮風寨・茶坪(易武山系) 勐腊 シルキーな口当たり+途切れない蜜香
老班章周辺の“新星”曼糯・新班章 勐海 老班章のパワーを受け継ぎつつ、より華やか
南糯山の坡拉・半坡老寨 勐海 トロピカル果実香と潤いある甘露感
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まとめ:山ごと、村ごとに“香りの指紋”
生プーアル茶の世界は、標高・土壌・樹齢・民族文化が織り成す究極のテロワール。
易武の柔、布朗の剛、冰島の清涼、景迈の蜜――。
産地名はワインのクリュと同様に品質と物語を示すパスポートです。
お好みの“山”を見つけることが、生プーアルの旅の第一歩。杯を重ねるごとに、雲南の大地と時の深まりを感じてください。